慢性呼吸不全が進行すると、呼吸困難によって日常生活に大きな支障をきたすようになります。また血液中の酸素が不足したままの状態が長引くと、肺以外の臓器に負荷がかかり、高血圧や心不全、脳卒中、狭心症、急性心筋梗塞などの合併症を引き起こす危険が出てきます。
そこで、慢性呼吸不全の原因となった病気の治療と同時に、在宅酸素療法(HOT:Home Oxygen Therapy)によって酸素の足りない状態を改善します。在宅酸素療法を行っている患者様の内訳としては、COPDが45%、肺線維症・間質性肺炎・じん肺等が18%、肺結核後遺症が12%程度と、呼吸器の病気がほとんどを占めています。
在宅酸素療法は、病状は安定しているものの血液中の酸素が不足している方が、ご自宅などの医療機関以外の場所で、不足している酸素を吸入する治療法です。自宅に酸素供給機を設置し、必要時あるいは24時間にわたり、酸素吸入をします。
在宅酸素療法は、息切れなどの自覚症状を改善し、慢性呼吸不全患者の生命予後の改善などに役立ちます。また家庭での酸素投与によって在宅療養や社会復帰を可能にし、生活の質(QOL)を高めます。酸素吸入により心臓をはじめとする諸臓器を低酸素状態から守り、寿命を延ばす効果も実証されています。
現在、全国で10万人以上の方が、ご自宅で酸素吸入をしています。